人間関係 自分を大切にする距離感(2)
前回は、相手との人間関係に問題を感じているときというのは、相手との距離感が、自分にとっては近すぎているということ、そしてその時、適切な距離感を感じ取るアラームが壊れているか、アラームの音に気づかないでいる、という話でした。
今回はその続きです。
まず、どうやってアラームに気づくかについて。
アラームの音に気づく方法は、実はとてもシンプルです。
アラームとは、「あなたと相手とのこころの距離感、関係の距離は近すぎるんですよ」という警告ですが、これは目覚まし時計のようにピピピピと音が鳴って聞こえるものではありません。
えー、そんなこと当然、当たり前、ですよね!
私たちの場合は、音ではなく、「感覚」がサインを出しています。
それはとっても単純!「不快感」です。心地よくない、楽ではない、自然ではない、と感じる感覚です。
相手と一緒にいると、話をしていると、なんだか嫌な気持ちになってくる…、なんだかわからないけど、しんどい…というようにハッキリ感じられるものでなくても、何かモヤモヤしたり、疲れたり、とまどったり…。どんな感じ方でもいいのですが、自分にとって心地よくない感じすべてがサイン。
いや、気のせいかも…と思ってしまいがちですが、実はしっかりとアラームなのです。
相手と話していたり関わっているとき、その状況やお互いの立場、関係性を踏まえ、相手が話している内容や態度に対し、それが正しいかどうかや、適切かどうかというように、“内容”のほうで判断しがちです。そして、お互いが、どうすべきかということにとらわれがちになります。
「快」「不快」、そして「そのどちらでもない」というのは、とってもシンプルな感覚です。気持ちいかどうか、心地よいかどうか、という言い方でもいいでしょう。
赤ちゃんは生まれてすでに、この感覚を感じるチカラがあります。とてもシンプルで原始的な感覚、そして、生きていくのに必要な感覚なのです。
さて、アラームへの気づき方は、とても簡単でシンプルだということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
そうすると、アラームが鳴っている時の、適切な対応というのも実はシンプルです。
そう、あなたが、「心地いい」と感じる、少なくとも「快でも不快でもどちらでもない」と感じられるまで、相手との関わりに距離をとるのです。
それは、物理的に離れるということもあるでしょう。一旦その部屋から外にでる。ちょっとトイレに行く、ということでもいいかもしれませんが、家族であればしばらくの別居や、職場であれば異動や退職ということにまで至るかもしれません。
あるいは、物理的には近くにいても、必要な分だけこころの距離感をもって接するということもあるでしょう。無視や拒絶のような、関係を断絶させるようなやりかたになるかもしれませんが、話題を変える、当たり障りない会話をするといった、「適度なご近所づきあい」のような関わりをとるやりかたもあるでしょう。
ここでは、アサーティブなコミュニケーションも大切になります。
具体的にどうするかは、それぞれの関係や状況によって異なっていて、まるで入学試験の対応と対策のような、プロジェクトの計画をねって推進するような、そんな作業をふまえて実行すると、やりやすくなります。
実は、その作業をしている時点で、もうすでにこころの距離をとっているので、効果の一歩を踏み出しているのですが。
さて次に、アラーム自体が壊れてしまっているかもしれないタイプの場合についてですが、これは実は、アラームに気づかない場合と大きく重なるところがあります。
これは、どうすれば、快・不快の感覚にしっかりと敏感になれるかどうかと関わっています。
長くなりますのでまた次回に!