DVのカウンセリング② 自分と相手の変化を促す
暴力があっても、それがどのような種類の暴力であるかに関わらず、別離(=離婚)の方向に進む場合も、相手との修復に進む場合もあります。
カウンセリングに来られる方は、カウンセリングに来るまでにたくさん悩んでおられます。
暴力がとても恐ろしく、深く傷ついたこと。
でも話に聞くのに比べると、この暴力はそれほどたいしたものじゃないのかもしれないという気持ち。
また暴力があるのではないかという不安と緊張。
相手への信頼が失われていることへの哀しみと寂しさ。
これからどうなるのか、相手とやっていけるのかどうかについての迷いや不安。
自分も悪かったんじゃないかという自責感。
相手は変わってくれるのではないかという期待。
暴力により二人の関係と信頼が壊れているとき、二人の関係がどのように変化するかは、二人それぞれがどのように変化するかということと両輪になっています。
暴力を振るわれ、傷つき、カウンセリングに来られている方は、次のような思いを自分の中にしっかりと持っていくことが大切になります。
暴力というやり方は決して受け入れられるものではない、相手がとった暴力というやり方は間違っている、という確信
うまくいかなかったことはあったかもしれないが、自分は暴力を振るわれるほど悪いことをしているわけではない、という確信
文字にするととてもシンプルに見えますが、これがなかなか簡単ではありません。
心の中に深く深く残っているものなので。
ですからカウンセリングでは、このような確信が芽生えていくことを、じっくりとサポートします。
相手の変化は、次のようなものです。
暴力をふるったこと、暴力という手段をとったことへの後悔と反省
自分のイライラや怒りをあなたにぶつけるやり方を変えること、変えようとする努力
あなたを、あなたとの関係を大切にしたいという思い
このようなことを「あなたが感じられるかどうか」が大切です。相手がそう言っているかどうかではなく。
時々見かけるのは、相手が言葉では謝罪や反省を口にしたので、それで反省したのかと思ったら、また繰り返されるということです。
言葉ではなく、態度をよ~くみましょう!
あるいは、深く深く反省して後悔している様子を見せているのに、しばらくするとまた暴力が起きるということです。
相手の反省が「ホンモノ」かどうかを見極めましょう!
本当に反省しているなら、以前と同じような「過ち」は二度と繰り返さないものです~!
相手にやり直しのチャンスを与えてあげたのなら、相手がそのチャンスを本当に大切にしているかどうか、そのチャンスを活かそうとしているのかどうか、よくよく評価しましょう~!
相手の反省と変化がホンモノかどうかについても、カウンセリングでじっくり検討していきます。
自分の心のなかに、100%でなかったとしても、だいたい大丈夫、と思える気持ちが出てくるかどうかが大切だからです。
それが、相手との信頼が回復していっているということになります。
相手の反省と変化は、相手が自分からやってくれたら楽ですが(本来なら自分でやってよーと思いますが)、あなたの変化から促されることも大いにあります。
あなたが、先に述べたような自分の心の中での「確信」を持つにつれ、あなたの態度が変化してきます。
カウンセリングでは、この「確信」の芽生えをサポートしていきますが(これがエンパワメントです)、同時に並行して、「確信」を育てていくためのコミュニケーションについてもアドバイスしたり、検討したりします。
自分の心の中の思いを育てることと、自分の態度を表明していくこと。どちらも大切です。
あなたのエンパワメント。そして、相手の反省と変化。それはホンモノかどうか。
そこが、二人の関係の方向を決定づけていきます。
このようなプロセスが、DV、暴力のある二人の関係についてのカウンセリングで行う一つ目の段階になります。